ハーウッド・ハウス Harewood House
ノースヨークシャー最初の訪問地はハーウッド・ハウスだ。
ハーウッド・ハウスはエリザベス女王の叔母にあたるメアリー王女(Princess Mary)の嫁ぎ先で今のハウスは12年の歳月を掛け1771年に完成したという。
パーキングからハウスに向かうとハウスの西側にフォーマル・ヘッジガーデンとでもいうのだろうか、パンフレットのガーデンマップにも名前のない一画がある。
広大なガーデンには他に案内する場所が多く、こんな小さなガーデンは案内もされていないのだ。
小さいと言っても40m四方はある。八角形の池のあるスペースを挟んで北側が20m程のライムウォークが通る(写真下左から2枚目)。
このライムは菩提樹(linden)のことで柑橘類のライムとは異なる。お約束通りフォーカルポイントの像がある。
反対の南側にはピラミッド型のトピアリーが整然と並ぶヘッジガーデン(写真下右から2枚目)、そして、東側は40mのライムの並木だ(写真下右)。
並木の下の木蔭はシクラメンの原種に適した場所なのだろう。周囲は柘植のヘッジで囲われ、風からも保護されている。
ハウスの南面のテラスの入り口は両サイドをスフィンクスの像が護る。壁際には赤いダリアとブルーサルビアのビビッドな配色の植え込みが印象的だ。
一方、コンテナのヘリオトロープとフクシアの植栽はシックな色合いだ。フクシアの葉の色が珍しい。
テラスから階段を上がれば"State Rooms"だが、私達は例によりガーデンオンリーだ。階段脇のオーナメントも重厚で歴史を感じさせる。
ここは"The Terrace Gallery & Cafe"の入り口だ。
テラスは2段になっている。下のテラスを見て驚いた。眼下に135m×35mの壮大なパルテア(Parterre)が広がる。正に息をのむ光景だ。
このテラス・ガーデンはロンドンの国会議事堂を建築したチャールス・バリー卿(Sir Charles Barry)によって1840年に造られたもので、
1944年に修復されている。
ワクワクして下りて行くとポツリポツリと来たと思ったら、いきなり土砂降りに見舞われる。雷まで鳴りだした。
多くの観光客と一緒にThe Terrace Galleryに駆け込み、雨宿りがてらギャラリーを巡る。展示してあるもの以外にも引き出しや戸棚を勝手に開けて見ることができる。
主に食器やグラスなどが何千何万と収納してある。当家は西インド諸島の砂糖取引で財をなしたということだが、いつもながら富の集中に鑑賞意欲を削がれる。
雨が上がり再びテラスに出る。素晴らしい像がある大きな噴水が2基がある。2つの像は元はバリーのオリジナルデザインの石造(写真下右)だったが、
一方が壊れた為、1984年にブロンズの像(写真上右)に替えたようだ。
ブロンズ像は”オルフェウス(Orpheus)”と名付けられ豹を担いだ堂々たる姿だ。
その周りをシンメトリーに柘植のヘッジで輪郭された花壇がデザインされている。花壇の総延長は1マイル(1.6km)に及ぶという。
そして植栽されている植物の数は2万本以上になるという。今はヘリオトロープで埋め尽くされているが、季節によって様々に植え替えられるらしい。
雨に濡れて灰色に写っているが、晴れていれば白い玉砂利に浮き上がる様に見える効果が出て更に美しいことだろう。
1段目と2段目のテラスの境界は美しい欄干が135mに渡って連なり、その裾は分厚い植栽のボーダーガーデンになっている(写真下)。 高さといい、幅といい、溢れるように咲き乱れているが、素晴らしくコントロールされたボーダーに唸るばかりだ。 このガーデンのヘッドガーデナーが"Professional Gardener of the Year"に輝いていることがうなずける。
また、ここはランスロット・ケイバビリティ・ブラウン(Lancelot 'Capability' Brown)によって1844年にデザインされたランドスケープ・ガーデン
(Landscape Garden 英国式風景庭園)としても有名なガーデンなのだ。テラスの先には牧草地と森が広がり、黒い牛がのんびり草を食み。
遠くの湖畔には白い水鳥が羽を休める姿が望める(写真右)。豊かな光景だ。
ブラウンが活躍した時代は人工的な整形式庭園が批判され、多くの王族・貴族がイタリア風景画に憧れこれを自分の庭に再現しようとしたのだ。
その第一人者がブラウンで、それまでにあった整形式庭園を惜しげもなく壊してランドスケープ・ガーデンに造り直したのだという。
そのブラウンもこのパルテアはさすがに壊せなかったのだろう。残っていて良かった。
他にも"Lakeside Garden"、"Himalayan Garden"、"Walled Garden"やペンギンもいるという"Bird Garden"などもあるのだが、
大雨の後で通路は水が溜まっているし芝も水を含んで歩けないので断念する。
Address | Harewood, Leeds LS17 9LG |
Telephone | 01132 181010 |
Web Site | Harewood House |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
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Gardens Guideで確認ください。
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